解体工事には許可が必要?その基本を知ろう
家屋や建物を取り壊す解体工事は、ただ重機を使って壊すだけの作業ではありません。法律で定められた手続きを踏み、許可を受けた業者が実施する必要があります。なぜなら解体工事は安全性や周辺環境への影響が大きく、専門知識と法的遵守が求められるからです。ここでは「解体業者の許可」について、基本的なポイントを解説します。
建設業許可と解体工事業登録
解体業者が解体工事を行うためには、2つの重要な制度があります。
* 建設業許可:工事金額500万円以上(建物一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を請け負う場合に必要
* 解体工事業登録:平成28年の法改正で義務化され、工事規模に関わらず解体工事を行う場合は登録が必須
この2つの制度は混同されやすいですが、規模や内容に応じてそれぞれ必要になる点を理解しておきましょう。
無許可業者に依頼するリスク
無許可業者に依頼すると、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。
* 違法工事として発覚し、発注者も責任を問われる場合がある
* 産業廃棄物の不法投棄に巻き込まれる危険性
* 近隣トラブルや事故が発生しても保険対応されないリスク
このように、業者選びにおいて「許可の有無」を確認することは非常に重要です。
解体業者の許可を確認する方法
では、実際に業者が許可を持っているかどうかはどう調べればよいのでしょうか。
許可証や登録票の提示
正規の解体業者は、事務所やホームページに「建設業許可証」や「解体工事業登録票」を掲示しています。契約前に提示を依頼し、必ず確認するようにしましょう。
自治体の公式サイトで確認
各都道府県の建設業課や環境整備課では、登録業者一覧を公開しています。依頼を検討している業者名を検索し、正式に登録されているかどうか確認することもできます。
このように、自分自身で調べられる手段があるため、不安があれば必ず裏付けを取ることをおすすめします。
解体業者に求められる基準と義務
解体業者は許可を受けるだけでなく、実際の工事においてもさまざまな義務を負っています。ここからは、発注者が理解しておくべき基準について見ていきます。
技術者の配置義務
解体工事では「解体工事施工技士」や「建築施工管理技士」など、専門知識を持つ技術者の配置が義務づけられています。技術者が常駐しているかどうかは、業者の信頼性を判断する指標の一つです。
産業廃棄物処理の適正管理
解体工事で発生する廃材は「産業廃棄物」として処理されます。分別・マニフェスト制度の遵守・適正処理が求められており、業者には環境保全の責任があります。
このような法的義務を果たせる体制を整えているかどうかが、優良業者とそうでない業者の大きな違いです。
許可を持つ解体業者を選ぶメリット
ここまでで「許可がない業者に依頼するリスク」と「許可業者に課せられる義務」について触れました。では、許可業者を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
安心感と信頼性
許可を受けている業者は、行政機関の審査を通過しているため、工事の品質や安全性に一定の基準が保証されています。依頼者は安心して工事を任せられます。
補助金・助成金申請に対応可能
自治体によっては、解体工事に補助金や助成金が交付される場合があります。その際、許可を持つ業者に依頼していなければ対象外となることもあるため、制度を活用するためにも許可業者を選ぶことが重要です。
許可業者に依頼することは、単に「法律違反を避ける」だけでなく、結果的にコスト削減や安心感の獲得にもつながります。
解体業者の許可に関するよくある質問
最後に、解体工事を検討する際によくある疑問についてまとめます。
小規模な解体でも許可は必要?
はい。規模の大小にかかわらず、解体工事を請け負うためには「解体工事業登録」が必要です。たとえ物置や車庫の解体でも、登録のない業者に依頼してはいけません。
知り合いの業者に頼む場合も許可が必要?
はい。知り合いであっても、業者として解体を行う場合には許可が必須です。トラブルを避けるため、関係性に関わらず必ず確認しましょう。
許可の有効期限はある?
建設業許可も解体工事業登録も、通常は5年ごとの更新が必要です。更新を怠っている業者は違法状態になるため、最新の許可状況を確認することが大切です。
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解体工事は一生に一度あるかないかの大きな出来事です。その際に信頼できる解体業者を見極めるためには、「許可の有無」を必ず確認することが重要です。安心で安全な解体工事を実現するために、ぜひ参考にしてください。